酔っ払ライダーの旅録
立山 雪の大谷ツーリング 2009.4.29(水)

毎年この時期になると、ニュースで紹介される立山の『雪の大谷』。雪が多い年には20mも積もるという、世界でも有数の豪雪地帯、立山。その何メートルもの雪を除雪してできた雪の壁の中を歩いて散策できる、この時期1ヶ月間だけの貴重な観光です。この日は日本列島が高気圧にすっぽりと覆われて文句なしの快晴。アパートから見える北アルプスには雲ひとつない。「これは行くしかない!」SR400のキックを蹴り、大町目指して走り出しました。

松本からサラダ街道を抜け、安曇野アートラインに入ると前方遠くに見える白い北アルプス。あそこを目指して一気に走りますが、途中、常念岳があまりに近くてきれいなので、バイクを停めて写真を撮りました。

大町市内へ入ると、県道45号大町アルペンラインで西へ向かいます。北アルプスの赤沢岳が目の前にくっきりと大きく現れました。途中、道の脇におサルを発見。人に慣れているのか、バイクを見ても全然逃げようとしません。

10時に扇沢の駅に到着。ここが黒部立山アルペンルートの入り口。バイクや車はここまで。ここからはトロリーバスです。28年前の高専生の時、カワサキKL250で三重県からここまで来たなぁ。なつかしい〜。駐輪場には雪が高々と積み上げられて、まだ溶けずに残っています。チケット売り場に行き、「雪の大谷まで往復ください」と言うと、「往復で5、6時間かかりますがいいですか?」。あらかじめネットで調べてそのことはわかっていたので、「いいです^^」とチケットを買いました。駅に入ると、すでに改札前には長蛇の列。しかも言葉は日本語ではなく中国語が飛び交っています。中国からの団体ツアーのようです。

ここから立山の雪の大谷までは、5つのステージになります。

1.大町 扇沢(1433m)
  
(トロリーバス)
2.黒部ダム (1470m)
  
(ケーブルカー)
3.黒部平  (1828m)
  
(ロープウェー)
4.大観峰  (2316m)
  
(トロリーバス)
5.立山 室堂(2450m)
  
(雪の大谷ウォーク)

30分ならんでようやくトロリーバスに乗車。電線からパンタグラフで電気を取って走る電気バスなので、排気ガスを出さないエコな乗り物です。15分ほどトンネルを走りますが、このトンネルは元々は黒部ダムの建設用に苦難の工事の末に造られたもの。当時何人もの犠牲者も出たとのことでした。そんな車内アナウンスを聞きながら満員のバスに揺られて、黒部ダムへ到着。

黒部ダムを見下ろせる展望台へは、220段の階段を登ります^^; かなりキツイ運動ですが、階段を登りきるとひらけるのはこの景色!


このアングルも、広告などでよく見る風景ですよね^^ それにしても、未踏の秘境によくもまあこんな建造物を作ったものです。


ケーブルカーの黒部湖駅へは、ダムの上を500mほど歩いて渡ります。そこから見た景色がこれです。

黒部湖駅にあった、大観峰と室堂の気象状況の案内。ちょっと寒そうですが、視界は30km、すばらしい景色に期待が膨らみます。ケーブルカーは、黒部平に向けて急斜面を高度400m以上ひたすら登り続けます。

黒部平に到着。高度が急に上がり景色は一転します。展望台から東方向を見た景色。鳴沢岳、赤沢岳が同じ高さの視線に見えます。


振り向いて西方向を見ると立山。正面にロープウェーが走り、頂上より少し下に大観峰の駅が見えます。ここからまだあの高さまで上がるのか!いったいこの先どんな景色になるのか、ドキドキします。


ロープウェイは整理券の順番待ちでかなり待つようなので、広場へ出てみました。下界のコンビニで買ってきたおにぎりをここで食べました^^ あ〜、コンビニのおにぎりって、こんなに旨かったかなぁ?!

整理券番号を呼ばれ、いよいよロープウェーへ乗ります。こんな大人数がこのちっちゃなロープウェーに乗るのか?! 高所恐怖症のわたしはちょっと不安・・・・。


黒部平から500mを一気に上がって大観峰へ到着。先ほどまでいた黒部ダムを見下ろした景色がコレ。標高2316m。どうですか、この景色!こんな場所にライディングスーツ姿で来られるなんて、考えられないですよね!

大観峰から室堂まではトロリーバスです。ここもずっとトンネル。途中、「立山直下」という場所を通過します。この真上には3,000mの立山があるのです。なんか不思議ですねぇ〜。

室堂駅へ着き、外へ出るとそこはまぶしい一面の銀世界。この除雪車で、何メートルも積もった立山道路の雪を除雪するのですね。昔はコンパスで測量しながら雪を削っていったそうですが、今はGPSで効率的に除雪作業をするそうです。

いよいよ、『雪の大谷』を歩きます。車線の半分は、バスが行き来します。

10mも積もった雪には、年輪のような層ができるそうです。黄砂の層は雪も黄色くなっていました。今年の雪の最高点は15mでした。

ここが15mの最高点。雪の大谷は500mほど歩き、途中で折り返します。

折り返し点のパノラマ広場。ここはまさに日本の屋根。空は果てしなく透き通り、宇宙が近くなったようです。こういうのを紺碧の空というのでしょうか。下界とはまったく違う別世界。わたしの写真では実際の感動は伝わらないと思いますが、言葉では説明できない景色を数枚ですがお楽しみくださいね^^

スキー板をかついでひたすら斜面を登る人たち。わたしはスキーは滑れませんが、こんなところを滑ったらどんなに気持ちがいいでしょうねぇ〜。

今回のツーリングでは、食べ物の話がほとんど出ませんでしたが最後に^^。黒部ダムまで降りてきて、帰路のバイクに備えてとん汁で身体を温めました。


10時に扇沢に着いて、ふたたび戻ってきたのは16時。ぴったり6時間かかりました。扇沢から室堂までの往復運賃は8,820円と超高価ですが、それだけの価値のあるすばらしい観光コースでした。雪の大谷はもちろん良かったですが、一番感動したのは、ステージが上がるごとに想像を超えて変化していくアルプスの大自然でした。大満足の黒部立山アルペンルートです。